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    おはようございます!
    カイゼン研究会の宇賀です。

    プロフィールはこちら↓↓↓
    http://japan.a-solsh.com/staff_details23.html


    中国の日系製造業では、赴任してまず
    「やっぱり5Sから始めるか!」
    ということがよくあります。

    日本の工場を知っている方から見ると
    中国にきて明らかに差が明確な部分で
    レベルの差が分かりやすいというのがあるかもしれません。

    そしてローカル管理者に
    5Sとは何か?(整理はこういう意味、整頓は・・)を教え
    各課やエリアに分けて計画を作らせ
    計画実行に沿って確認していく。

    すると、
    「なんか、思ってたのと違うな、、」と思い、
    不足を指摘してまた宿題として残し
    次回またチェックする。という循環です。


    このような5Sに限らず

    集団の中で
    1.基準がどう生成されるか
    2.基準がどう維持されるか
    3.基準がどう変革されるか


    というテーマは各段階別にかなり研究されています。
    (その中では集団規範と呼ばれます)

    本日はその1段階目を見ていき
    5S活動などのヒントになればと思います。


    1.基準がどう生成されるか
    (その集団の中での普通というのがどうできるか?)

    集団の中で基準が生まれるかで
    まず最初に思いつくのは
    社内規定などの
    文書化されたルール(成文法)
    によって作成されるものがあります。

    今までの暗黙の了解や
    これから進めていきたいことの
    判断基準が明確で誰にでも確認できる
    情報に変わるのですが
    必ず維持コスト(時間、お金)がかかります。

    監視するコスト
    ペナルティを与えるコストなどです。
    これらとセットにしないと影響を持ちません。


    次に、最初に5Sを例で出したように
    正しさが個人で判断できない不確かな状況
    というのが仕事上は多いです。

    こういう場合は
    集団の中で他者の認識と比較していきながら
    共通の合意が出来上がっていき、
    その合意がその集団の基準になっていきます。

    ここである実験を紹介します。

    社会学者のシェリフという人が
    不確かな状況や、未経験の状況での
    基準の合意がどうされるか?
    ということを観察した実験があります。

    —————————————————————
    暗闇の部屋に人を入れ
    小さな光を点灯させ、光の位置がどれだけ動いたかを
    その人に記録させるという単純なものです。

    実際は、光は動いていないのですが
    目の錯覚により、移動しているように見える
    という特性を利用しています。

    1人ずつ部屋に入ってもらい記録した距離を見ると、
    錯覚であり、明確な基準などはないので
    まったくバラバラな回答が出てきます。
    (正解などないので)

    次にバラバラな回答の3人を同時に部屋に入れ
    記録して、回答してもらうということを繰り返していくと
    回答は初めこそバラバラだが
    最終的にはその組独自の一定の値に収束していく
    という結果が出ます。
    新メンバーを入れてもその基準に影響を受けて
    同様の結果となっていきます。
    —————————————————————


    不確かな状況、回答に自信がない状況では
    集団の中で、他者と比較しながら
    (その情報を参考にしながら)
    自主的に判断を調整していき
    共通の答えを作り出すということです。


    何が言えるかというと
    「5Sを始めよう!」という号令の下
    管理者からの伝達ゲームが始まりますが
    実際に実行する人たちにとっては
    まったく未知で、不確かなことをやる必要があります。


    その中で一緒にやる人たちの様子を見ながら
    「線を引いて、そこに置けばよいのか。」
    「名前の札をつければよいのか。」
    と集団の共通の理解が生まれ
    じゃあほかの場所でも線を引いて名前を付けようと
    共通の基準で拡大していくのです。

    しかし、
    号令をかけた側からすると
    日本の工場で実施されていたことが
    その人の中の基準となっているため
    ギャップが発生してしまいます。

    しかも各部(集団)によって
    共通の基準が違うので、
    チェックも訂正も膨大な量になってしまい
    うまくいかなくなっていきます。


    なので

    集団の中の基準がうまれ、拡大していく前に
    基準生成の段階で
    モデルラインやモデルとなる場所を

    造りこむという方法がとられています。

    上層部(達してほしい基準を持っている人)まで入り、
    共通の基準をまず局所的に造りこむ。

    5Sで言うと各部によって
    ・この設備回りだけ
    ・事務所のキャビネットと机だけ
    ・倉庫のこのエリアだけ
    で良いので
    まずはモデル(メンバーと共通の基準)を作り上げる。

    それが完成してから違う場所に展開していく
    ということが行われています。

    実行者にとって正解が不確かなまま
    させていくと、その集団のレベルに倣った
    共通の基準が再生産されてしまうので
    結局、元のレベルに収束してしまうのです。


    最後までお読みいただきありがとうございました。


    P.S.
    2.基準がどう維持されるか
    3.基準がどう変革されるか

    はまた別の機会で書いていきますね。

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    カイゼニスト  宇賀 邦人

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