おはようございます!
カイゼン研究会の池田です。
(私のプロフィールは
こちら)
実は先週の月曜から1週間、日本で行われる研修に参加するために久しぶりに日本へ滞在しております。
久しぶりに来て改めて実感しますが、現金が本当に煩わしいです…笑
空港について早速行ったのはとにかく現金を下ろすこと。
ある程度電子マネー化が進んでいるとは言え、やはりまだまだ現金ないと何もできませんから…
この猛暑を超える暑さの中に現金を下ろすために列をなしている集団を見ると「おいマジか…」と思わざるを得ません。
一部は使えるようですが早くどこでも支付宝(アリペイ)が使えるようにならないかなーと思う今日この頃です笑
さてさて、本日は前から少し書こうと思っていた中国の半導体動向について少し書きたいなーと思います。
私は前職で半導体製造装置メーカーのサービスエンジニアをしていたのですが、その影響かやはり今でも半導体系のニュースには目を惹かれてしまいます。
特にここ最近色んな意味で大きく流れている、米中貿易摩擦を背景とした中国の半導体の動向には目を離せません。
そこで一旦現状までの状況を私なりにまとめて、出来るだけ簡潔に書いてみることにしました。
少し長いですがお付き合い頂けると幸いです。
さてここ最近米中貿易摩擦だーというニュースがちょいちょい出てきていますが、その中でも半導体がかなり煽りをくらっているようです。
中国は"Made in China 2025"の中で半導体開発を1つの柱にしており、特に2025年までには国内で使用する半導体の40%以上を自国で生産することを目標に掲げております。
こんな大きな目標をあと7,8年でやろうとしていることが驚きですが…
ちなみに一言に半導体と言ってもいくつも種類があります。
その中でも比較的馴染みのある半導体と言えば、NANDフラッシュメモリとDRAMではないでしょうか。
NANDフラッシュメモリやDRAMは日本国内では東芝メモリやMicronなどが有名ですが、データセンターなどが増えていく中でその需要もうなぎ登り状態です。
現状ではこれらの半導体は米国、日本、韓国、台湾などの巨大な工場でほとんどが生産されており、中国もここから輸入して賄っています。
元々中国としては海外企業をパパっと買収して技術をさくっと手に入れて製造しようかなー、と思っていたようですが、中国政府系投資ファンドは対米外国投資委員会に何度か買収を阻止されており、その思惑がことごとく砕かれたようです。
半導体の技術がひいては戦争に直結すると言っても過言ではないため、米国としては必死だったのでしょう…
そして2025年の目標に加え、米中貿易摩擦の背景もあり半導体を自給自足する動きがさらに加速されているようです。
中国としてもここまで買収が上手くいかないとは思っていなかったかも知れません。
また米政府が米企業によるZTE製品販売中止をしたことも半導体開発の遅れに影響しているそうです。
そのため、中国は企業の買収を辞めて今は人材の買収にお熱らしいです。
先日前職時代の上司達が上海に来たので一緒に飲んだのですが、米国、日本、韓国、台湾などの半導体大手のエンジニアや経営幹部を今の給料の3〜5倍+ボーナス付きという条件で引き抜き、そのエンジニアがさらにエンジニアを紹介すると報奨金までつく、といことが実際に起きているようです。
リアルですねー…
台湾などでは転職するエンジニアが技術を持ち出そうとしてついに逮捕者まで出る始末、引き抜かれる側ももうなりふり構っていられません。
現在中国では外国勢であるSamsung(西安)とIntel(大連)の3D-NANDフラッシュメモリの量産工場、SK HynixのDRAM量産工場(無錫)がフル稼働中で増産計画もあるようです。
さらにメモリではないですがファウンドリーの世界最大手の台湾のTSMCの
300㎜Waferの新工場(南京)もまもなく中国国内顧客向けの受託生産を開始する予定だそうです。
ちなみにこの南京工場に先日前職の先輩が行ったそうですが、アトラクションみたいな工場だったと言っていました。
一度見てみたいものですね〜
これに対して中国政府は国策として半導体の自国生産をするために、特に国内半導体メモリ産業を育成しようとしているらしいです。
その筆頭が以下の3社!
TMTC/XMC(湖北省):NANDフラッシュメモリ
Innotron(安徽省):モバイルDRAM
JHICC(福建省):特殊用途DRAM
さすが国策、うまく住み分けができるように各分野の担当もきまっているのですね。
ちなみに2019年にはどれも本格的な生産を始める予定らしいですが、目下外国特許侵害や機密、技術盗用の訴えを抱えているそうです。
紫光集団は東芝メモリ買収でもMicron買収でも邪魔されて失敗しているようですし…
また現状の最大の課題としては最新製造技術や人材、知的財産権をいかに確保するか、ということが挙げられます。
特許の支払い問題などはクリアしておかないとスタートと同時に多くの訴訟を抱えることにもなりますし。
それに国内での半導体人材育成にも力を入れているようですが、これには時間がかかりすぎるためとても2025年には間に合いません。
半導体の自給自足を掲げてはいますが、壁もまた厚く多いためこれらをどう乗り切るのか、という点からは今後目が離せません!
とまぁ長く書いてしまいましたが、もし自国だけで生産が可能になれば中国の製造業もまだまだ伸びる余地があるのかと思います。
特に半導体業界が元気になればその周りを取り巻く製造業も活性化されます。
半導体には実に多くの技術が使われており、高精度高品質の切削加工品や液系ガス系などの材料、カメラ、モーターなど上げればきりがありません。
今新しい顧客を開拓したい!と思っている工場の方は半導体業界への道を考えてみても良いかも知れません。
かなり大変できついですがお金巡りは良い方です笑
少し強引なつなぎにはなってしまいますが…
まだまだ製造業としては伸びる可能性のある中国製造業業界においては、まだまだ走り続けなければいけない状況であることは間違いありません。
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本日も長い文章を読んで頂きありがとうございました!
一般社団法人 生産、物流現場カイゼン研究会
現場カイゼン診断士 池田 竜貴
==== この定期カイゼン通信の目的 ========
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